完全ガイド2026.05.10AI経営実践ラボ編集部

Claude を「会話風」で使うと性能が出ない — Anthropic 公式ワークショップが薦める 7 段プロンプト構造と応用テクニック(Role/Tone Before-After・Few-shot Examples・出力タグ/Pre-fill/Extended thinking)

# Claude を「会話風」で使うと性能が出ない — Anthropic 公式ワークショップが薦める 7 段プロンプト構造と応用テクニック。

Claude5分
Claude プロンプト 7 段構造 — 会話風で使うと性能が出ない
Claude完全ガイド記事一覧

この記事の要点

3行で言うと

  • # Claude を「会話風」で使うと性能が出ない — Anthropic 公式ワークショップが薦める 7 段プロンプト構造と応用テクニック。
  • Claudeの完全ガイドとして、確認に必要な要点を整理しています。
  • 料金、利用条件、対応プランを社内の運用ルールに合わせて確認してください。
この記事の目次開閉

Claude のプロンプトとは

Claude(および Claude Code / Claude API)に投げる指示文の総称です。非エンジニアにとっては「チャット欄に書く依頼文」と同じ意味で構いません。

一方で API や Claude Code では、system prompt(毎回最初に読まれる土台のルール)と user prompt(その時々の依頼)を別々に書ける仕組みがあり、ここの使い分けが品質に効きます。

推奨される 7 段プロンプト構造

ワークショップで提示された並びは次の通りです。上から順に積むのがポイントで、いきなり「Instructions」だけを書くのが多くの人がやってしまうアンチパターンです。

1. Task(タスク) — このプロンプトで Claude にやってほしい仕事を

一文で。例: 「次の議事録を 3 行で要約してください」。

2. Tone(トーン) — 出力の口調・フォーマル度。例: 「丁寧語で、

煽らない」「社内向けにフラット」。

3. Background(背景) — タスクが置かれている文脈。例: 「これは

経営会議用で、出席は CFO と事業部長」。

4. Instructions(手順・制約) — 守ってほしいルールを箇条書きで。

例: 「数値は元データのまま」「固有名詞を勝手に言い換えない」。

5. Examples(例示) — 良い出力 / 悪い出力の具体例。**ここが

一番効く**。例: 「良い要約: 〇〇」「悪い要約: △△」。

6. Reminder(再喚起) — 長いプロンプトの末尾で、最重要ルールを

再度短く言い直す。例: 「※必ず 3 行以内、見出しは禁止」。

7. Format(出力形式) — Markdown / 箇条書き / JSON / プレーン

テキスト等の最終形。例: 「Markdown の - 箇条書き、3 件まで」。

書き方のコツとして、それぞれの段は見出し(# Task # Tone …)で分けると、Claude が役割を取り違えにくくなります。

不変情報は system prompt、動的情報は user prompt に分ける

7 段構造を書いたあと、もう一つ重要なのが どこに書くか です。

System prompt に置くべきもの(不変): Tone、Background のうち毎回変わらないもの、Instructions、Reminder、Format。 → 「このアシスタントの恒久ルール」を担う部分。

User prompt に置くべきもの(動的): 今回処理する Task の本文、今回固有の Background(特定の議事録、特定の顧客名など)、Examples のうち今回ピンポイントで効かせたいもの。

非エンジニアでも、たとえば Claude のカスタムインストラクション欄や、ノーコードツール上の「システムメッセージ」欄にあたる場所が system prompt だと思って差し支えありません。毎回の依頼文に同じルールを書き続けるのではなく、一度 system prompt に固定するだけで、安定度が一段上がります。

Examples × Extended thinking でループを回す

ワークショップが強調していた 3 番目のポイントが、Examples(例示)と Extended thinking(じっくり考えるモード)の組み合わせです。

・まず Examples を 2〜3 件入れて Claude の出力を観察する。

・出力がズレていたら、その「ズレの実例」を悪い例として Examples に追加する。

・このとき Extended thinking(Claude の「じっくり考える」設定。 Claude の UI では拡張思考オプション、API では thinking パラメータに相当)を有効にしておくと、Claude が なぜその出力をしたかの推論プロセス が見えやすくなり、どこで誤解しているかが特定しやすい。

・修正された Examples を反映して再実行 → さらに観察 → さらに修正、というフィードバックループを 2〜3 周回すと、同じモデルでも出力のブレが大きく減る。

つまり Examples は「最初に書いて終わり」ではなく、出力を見て育てる資産 として扱うのが正解、という話です。

応用 ① Tone セクションを丁寧に書く例 — Role/Tone Before-After

7 段構造のうち Step 1(Task)だけを書いて投げる のは、もっとも多いアンチパターンです。Anthropic 公式ワークショップでは、症状そのものが紹介されています。「事故報告書を分析して」 とだけ書いた V1 プロンプトに対し、Claude は文脈を勝手に補完して 「スキー事故」 として分析を返してきた、というケースです。

V1(タスク文だけ)— 何が起きたか

V1 のプロンプトは、たった一文

事故報告書を分析して

このプロンプトに、自動車保険のクレーム(保険金請求)の事故報告書を渡した場合、Claude は何を返すか。Anthropic 公式ワークショップの実演では、Claude は 「スキー事故についての分析」 を返してきたと紹介されています。

なぜそうなるのか。「事故報告書」だけでは、Claude にとって以下のような前提がすべて不明だからです。

・何の事故か(自動車?スキー?労災?)

・誰の立場で読むのか(被害者?保険会社?弁護士?)

・どんな粒度で分析すべきか(1 行サマリ?争点抽出?数値の妥当性チェック?)

人間なら「保険会社からの依頼なんだから自動車事故だろう」と察するが、 Claude には背景情報がない。確率的にもっとも“それっぽい”文脈を選ぶ。 Claude のデフォルト挙動は“足りないコンテキストを自分で勝手に埋める” だと押さえておくのが第一歩です。

V2(役割+トーンを 2 行足した)— 何が変わったか

V2 で追加されたのは、本質的にたった 2 行。

あなたは自動車保険会社の Claim adjuster(クレーム査定担当)を補助する

AI アシスタントです。

自信がない時は推測せず、factual(事実ベース)に保ってください。

事故報告書を分析して

この 2 行が、それぞれ別の役割を担っています。

1 行目(Role 指定): 「自動車保険会社のクレーム査定担当を補助する AI」と書くことで、Claude にとっての 業務文脈が一意に決まる。事故 = 自動車事故。読み手 = クレーム査定担当。出力 = 査定担当が次のアクションを取れる粒度の分析。スキー事故の方向に推測が走る余地がなくなる。

2 行目(Tone 指定): 「自信がない時は推測しない/factual を保つ」と書くことで、不確かな部分を 断言せず保留する 挙動に切り替わる。報告書に書かれていないことを Claude が“それっぽく補完”するハルシネーション傾向を、明示的に抑え込める。

ワークショップでは、この 2 行を足しただけで Claude が車事故を 車事故として認識し、査定補助の出力に切り替わったと紹介されています。

この 2 行が効く原則

1. コンテキスト(役割)は省略してはいけない: モデルは省略された前提

を「もっともそれらしい確率分布」で勝手に埋める。業務で使う限り、業務文脈は毎回明示する。

2. トーンは“品質ガードレール”として機能する: 「推測しない」「factual...

応用 ② Examples セクションに Few-shot を入れる — グレーゾーン事例+ラベル

7 段の Step 5(Examples) は、ワークショップで「Claude を誘導する最強テク」と呼ばれていた部分です。「丁寧に書いて」「JSON で返して」と言葉で説明するより、実際の例を 3 つ見せた方が早い

グレーゾーン事例+正解ラベルを組で入れる

初心者は「分かりやすい正例」だけを並べがちですが、ワークショップで強調されたのは グレーゾーンの過去事例 を入れることでした。

# system prompt の Examples 欄(イメージ)

例 1(グレー):

入力: 「先日の対応について確認したいことがあります。

担当者の方の言い方が少し気になりまして…」

正解: クレーム

理由: 「気になりまして」は明示的な苦情ではないが、

担当者の言動への不満を含むためクレーム扱い。

例 2(グレー):

入力: 「貴社のサービスは素晴らしいのですが、

〇〇の機能はいつ追加されますか?」

正解: 要望

理由: 褒め言葉が混ざるが本質は機能追加の要望。

ポイントは 「正解ラベル + なぜそう判断したかの一行理由」 を添えること。境界線にある事例を見せることで、Claude は「ここからこっちはクレーム、ここからは要望」という閾値を学びます。

画像も例示として渡せる(base64 で)

Claude API は画像入力を base64 形式で受け取れるため、「こういう画像が来たらこう判定する」のテンプレート を system prompt に埋め込めます。契約書スキャン・身分証 OCR・商品画像審査など、過去の判定事例(画像 + ラベル)をそのまま教師例として格納できる、という発想です。

「Claude が間違えた瞬間」を例として積み増す

ワークショップで紹介された姿勢は、「prompt engineering は empirical science(経験科学)だ」という言葉でした。一発で完璧なプロンプトは書けない前提で、

1. プロンプトを動かす

2. Claude が間違えた出力を捕まえる

3. その入力 + 正解ラベルを Examples 欄に追加する

4. 同じ間違いをしないか試す

5. 1 に戻る

というループを回し続ける。社内 Slack の問い合わせ仕分けエージェントを動かしながら、毎週「先週の誤判定」を 5 件ピックアップして Examples 欄に追記していくと、月単位で精度が伸びます。

Few-shot 運用の注意点

数の目安は 3〜10 個。多すぎると context window を圧迫する。

同じパターンの例ばかりではなく多様性を持たせる

個人情報の混入に注意: 過去の問い合わせや顧客対応ログを Examples に使う場合は、氏名・電話番号などをマスクしてから埋め込む

base64 画像は本当に判定が割れるパターンに絞る(context を食う)。

応用 ③ Format / 仕上げの 3 テクニック — 出力タグ・Pre-fill・Extended thinking スクラッチパッド読み

7 段の Step 7(Format) をさらに踏み込み、出力を「DB や次工程に直接流し込めるレベルまで安定化」させる 3 つの仕上げテクニックです。

③-1 Output formatting:結論を独自タグでラップする

Claude に「JSON で返して」と頼むだけでは、前後に「以下が JSON です」のような自然文が混ざることがあり、そのままシステムに流し込みにくい。

やること: 結論部分を 独自タグでラップ する(例: <final_verdict> 〜 </final_verdict>)。タグ内のフォーマットを明示(JSON / YAML / CSV / プレーンテキスト等)。必要なら JSON のキー名・型まで system prompt 側で固定する。

最終結論は必ず以下の形式で出力してください。

<final_verdict>

{

"decision": "accept" | "reject",

"reason": "1〜2 文の理由",

"confidence": "high" | "medium" | "low"

}

</final_verdict>

こうしておくと、後段のスクリプトやノーコードフローで <final_verdict> 〜 </final_verdict> の中身だけを抜き出して、データベースや次の処理に流し込めます。

③-2 Pre-fill:応答冒頭を強制してムダ書きを消す

Claude は親切な性格で、依頼に対して「承知しました」「以下のとおり要約します」のような前置きを入れがち。後段が機械処理だと邪魔です。

やること: API や Claude Code で assistant turn の冒頭 を、こちらが書いた数文字で始めさせる。JSON 配列で返してほしいなら [ から、上のタグ運用なら <final_verdict> から始めさせる。これにより前置き文章が 物理的に書けなくなる(Claude はその続きから生成するため)。

messages = [

{ role: "user", content: "次の議事録を JSON 配列で要約してください。…" },

{ role: "assistant", content: "[" } // ← ここが Pre-fill

]

注意: Pre-fill は API・Claude Code・Workbench でしか使えない機能で、通常の Claude チャット UI からは指定できません。ノーコードツール経由で Claude を呼んでいる場合は、ツール側に「assistant メッセージの冒頭を指定する」項目があるか確認してください。なければ ① の出力タグ指定で代替します。

③-3 Extended thinking:scratchpad から「足りないコンテキスト」を見つける

Claude 3.7 以降の Extended thinking では、最終回答の前に Claude が どう考えたか が見えます。これを「ただ眺めるもの」ではなく プロンプト改善の材料 として使うのが、3 つ目の仕上げです。...

誰にどう効くか

業務文書を Claude に書かせている人: 議事録要約、顧客向けメール下書き、社内報告書など、毎回似たフォーマットを出すタスクで system prompt に 7 段の骨格を固定すれば、依頼文が「議事録ペーストだけ」で済むようになる。

ノーコードで AI エージェントを組んでいる人: ツール側の「システムプロンプト」欄に Tone / Instructions / Format を入れ、ユーザー入力欄を Task 専用にすると、回ごとの品質が安定する。

Claude Code を使っている開発担当者: プロジェクト側の指示文(CLAUDE.md など)に 7 段のうち恒久部分を、依頼ごとのチャットに Task と動的 Background を分けて書くことで、コーディング指示の取り違えを減らせる。

触ってみるには / 注意点

コストはかからない: これは仕様変更ではなく 使い方のフレームワーク。今日から自分のプロンプトを 7 段に書き直すだけで適用可能。

完璧を目指さない: 7 段すべてを毎回フルで書く必要はない。Tone と Background が自明なら省いてよい。Examples と Format は省かない のが実務的に効きやすい。

Extended thinking の使いどころ: 全タスクで有効化する必要はなく、出力品質を上げたい・ループを回したいフェーズで使う。短い雑談やシンプルな単発要約には不要。

モデル別の挙動: 本記事は Claude を前提とした構造ですが、 GPT 系・Gemini 系でも 7 段構造の発想自体は流用が効きます。ただし「system prompt と user prompt の分離」「Extended thinking 相当の推論オプション」は各社で名称・挙動が異なるため、移植するときは各社のドキュメントを確認してください。

参考

・7 段構造の総まとめ(24 分ワークショップ動画の要約スレッド 9/n): <https://x.com/masahirochaen/status/2053313339980439687>

・Role/Tone Before-After(同スレッド 4/n): <https://x.com/masahirochaen/status/2053313261643448602>

・Few-shot Examples の deep-dive(同スレッド 6/n): <https://x.com/masahirochaen/status/2053313292568051740>

・仕上げ 3 テクニック(同スレッド 8/n): <https://x.com/masahirochaen/status/2053313324218241208>

_Status: accepted — Anthropic 公式ワークショップ要約スレッドの 4 ポスト(4/n, 6/n, 8/n, 9/n)を 7 段構造を背骨に 1 本へ集約した版。_

タグ(0件):タグ未設定
もっと見る